あらばきについて
あらばき恊働印刷
―1981年創業―
あなたが言葉をかわしたい、手をつなぎたい、
心を伝えたい、想像の世界を探したい、
そんな時…… 印刷は少しだけ世界を広くします。
私たちは、お客さまと一緒に創る(つくる)ことを願う印刷屋です。
時には、一台のタイプライターが、自由への武器となる
あらばき協働印刷は1980年に創立された。それからまたたくまに数十年がたとうとしている。だが、そこに至る道程には長い長い苦闘の歴史が横たわっている。
その前史あるいは全史をたどることによって私たちは、ほんの慎ましやかなタイプライターや印刷機が、どのように時代とともに生きることが出来るのかを発見する。あらばき協働印刷の前身は「亜細亜印刷」であり、その前身は1960年代の「美登利印刷」である。文字通り裸一貫、タイプ一台、印刷機一台を譲り 受けることからスタートしたこの「印刷所」は、しかし稀有な軌跡をたどることになる。
いわば、それは無告の民衆自身が「表現」を自らのものとしていく過程に酷似している。ちょうどプルードンが印刷校正工として労働を生きるこで、印刷する 媒体そのものから精神を逆照射されていく……そうしていつか、自らの新たなる思考に羽ばたくという、そんなふうな足もとの「思考」と地を這う坑夫のような 「精神性」がきらめくこともあるのだ。印刷機を担いだ知識人という不可能なイメージ、そんな転向することのありえないきわどい領域にこの印刷屋は滑りこん だのだともいえる。現在のデジタル化した膨大なシステムを駆使する状況の中でも、この精神の水脈は営々と流れている。
一台のタイプライターが最後まで武器であるという確固とした地平、それは退路というもののない、ゆるぎない大地だ。
matu